Japanese
English
綜説
脳グリコーゲンの組織化学
Histochemical Studies on Brain Glycogen
清水 信夫
1
Nobuo Shimizu
1
1大阪大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Osaka University Medical School
pp.194-201
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906017
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脳組織は,その代謝及び機能を正常に維持する為に含水炭素に依存することが他の組織に比較して特に大である。即脳はその力源を主として糖より得ているのであつて,この事は脳の呼吸商が殆ど1に近く,又インシユリン注射に依り血糖を急激に減少せしめると脳機能が強く障害されグルコース注射に依り急速に回復される点などから明らかである。糖代謝に於いてはグリコーゲン(以下Gと略記する)又はグルコースは嫌気的状態下Embden-Meyerhofの模式に従つて乳酸となり,後者は好気的代謝即Krebs' TCAcycleを経てCO2とH2Oとに分解される。脳に於いても原則的に(Warburg-Dickensの模式による代謝路も考えられる)この様な代謝が行われ,得られた高エネルギー燐酸化合物は各種の神経作用に利用されると考えられる(Himwich37),Williams97),3. Colloquium14),McIlwain55),等),(第1図,第2図参照)。
私共は脳組織に於ける糖代謝を組織化学的方法で追及し脳各部に於ける代謝の局在を詳細ならしめんと努力している。本論説ではGを中心とする私共の成績を紹介し更に関係ある研究者の業績にも触れ2,3の考察を試みた。
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