研究室から
私たちの研究室—順天堂大学医学部生理学教室
竹内 宣子
pp.47
発行日 1957年2月15日
Published Date 1957/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905933
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お茶の水の駅近い神田川に臨む一劃に,順天堂大学の幾つかの建物が並んでいる。その奥まつた一角に建つ鉄筋4階建の五号館の最上層が我が生理学教室である。何時も金色に磨かれた階段の金具を踏んで4階まで登りつめると,白い壁,光る床,その両側に8つのドアが多くは静かに閉されて並んでいる。幾つかの実験室は時に実験中暗室となり,ドアのガラスの内側は昼間でも暗い。まして"実験中,静かに!"などというはり紙が出されるに及んでは,始めての来訪者は恐らく一瞬戸惑われるであろう。しかしドアを開けて一旦中へ入ると,明いグレイの天井と床,白い壁,螢光燈といずれもなかなか近代的感覚の部屋である。そして教室発足して5年という短い歴史にしては,どの実験室もまあ一応のものが備つている。今年度から第一生理,第二生理の2講座に分かれた。2教室としてはまだまだスペースが足りないので色々のものが所狭ましと置き並べられている。それが一層充実感を与えるのかもしれない。しかし教授1人,助教授1人,助手1人で,殆んど無一物から発足した当時を思えば,僅かな月日の間にこれだけに発展したことを感慨深く思わずにはいられない。現在,坂本教授,真島教授以下教室員12名,助手も新しく若い3人を迎えた。古い歴史はない。建物も机も実験装置もまだ新しい。今我々の手で新しい教室の歴史をきずいているわけである。研究の方も軌道に乗りつつある。
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