研究室から
私どもの研究室—東北大学第二生理学教室
本川
pp.164
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905867
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研究室の歴史が古いと設備までも古めかしくなるのは日本だけではないようである。外国では古いものを棄却して新設備をするのは大変なのでそのまゝにして,少しずつ改造して行くという方法を取つているところが古い大学に見られた。新らしい大学では始めから新設備をするので見かけは大変立派なのが多いが,仕事の方も見掛通りかどうかとあやぶまれる所もあつた。私共の研究室などは日本では古い方に属する。東京大学は一番古い筈であるが,関東大震災で烏有に帰したから,比較的新らしい方である。古いものが残つているのでは,それを更新するために予算が出ない仕組みになつている日本の現状では,教室全体が道具屋の店先のようになつてしまうのも致し方がない。
何に使用するのかさえわからないような小道具がごろごろしていて塵埃にまみれているが,よく見るとドイツ製で,作りは実によく出来ているのが多い。こんなものまでドイツから買つたのかと思われるようなものがあつて当時の日本の科学的水準が思いやられる。
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