特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
眼壓の電氣的測定法について
宇山 安夫
1
,
鈴木 一三九
2
1大阪大學眼科
2大阪大學眼科教室
pp.853-858
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201314
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まえがき
近來研究方法の改良に伴つて,房水及び眼壓に關する研究は僅かの間に飛躍的進歩を遂げて來ている。例えば前眼部の奧深く階されていた前房隅角の模樣は,前房隅角鏡の出現と其の利用によつて明るみに引出され,又一方房水靜脈の發見と,それに續く上鞏膜靜脈に關する多くの知見は,前隅房角鏡の研究と相俟つて,一應前房に於ける房水の流動現象を解決する糸口を與えて呉れ,房水の流れの速ささえも計算されうる程になつた。更に房水の組成の分析による結果は,房水の性成機轉に就ても從來の透過,分泌,濾過という異なる現象に對し或程度妥協の餘地のあることを示した。即ち個々の組成に就て個々の生成と吸收機轉を考えることが妥當であるといつた方向に進みつゝあるかに見受けられる。
正常眼壓,延いては緑内障發生機序に就ては夫々の研究者によつて究明されつゝあるが,それにしても日常緑内障の發見とこれに對する治療の目安を得る爲には,先づ多くの場合眼壓自體を考慮しなければならない。それが爲に問題となるのな,結局眼壓計である。從來の機械的なマノメーター・トノメーターに代つて,こゝ數年來電氣的應用によつて作られた電氣賑壓計が廣く實用化されつゝあるのは畢竟その必要性に基く進歩に他ならないのである。この電氣マノメーター乃至トノメーターに就て,特にそれがどの樣な點で優れているかといつた觀點から批判しつゝ,その應用に就て概略の紹介を試みようと思うのである。
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