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皮膚電氣反射(galvanic skin reflex or respon—se, GSR)は精神電流現象(psychogalvanicreflex, PGR)の名のもとに從來は主として心理學的に興味がもたれてきたが,これが交感神經によつて傳えられる現象であることが知られてから,最近は交感神經機能の動的検査法としての價値が認められ,また皮膚電氣抵抗(electric skin resistance, ESR)はその値が種々の要因によつて支配されるので生理學的にも取扱の甚だ厄介な現象とみられてきたが,Richter等によつて特定の條件のもとにおいては交感神経機能の鋭敏,的確な指標となることが明らかにされてから,これによる知覺神經dermatomに順ずる美しい交感神經dermatomが決定されるとか,交感神經外科領域に多くの注目すべき業績が相次いで發表されるようになつた。その他視力,聽力の他覺的検査,W.nger等による自律神經緊張度診斷への應用等,臨床各科においてそれぞれ新しい應用が試みられている。
この場合皮膚電氣反射と皮膚電氣抵抗は,これにより何れも交感神經によつて傳えられる汗腺の興奮をみようとしている點で一致しているが,この兩者の關係を明かにし,綜合的に解説している綜説が内外に見當らず,かたがた内科,小兒科,外科,皮膚科等臨床各科における種々の疾患の病因究明に交感神經機能研究はますます重要性を加え,更に我が國においては久野,和田,高木教授等によつて發汗の研究が目覺しく展開されているが,これらの研究とも直接の關係があると思われるので,ここに廣く文献を渉獵し,主として臨床應用上の参考に供したいと思う。
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