論述
腎臓の生理及び藥理(第1報)—主として蛙腎臟循環系に就いて
酒井 文德
1
1東京醫科齒科大學藥理學教室
pp.82-86
発行日 1952年10月15日
Published Date 1952/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905676
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蛙の腎臟は腎動脈以外に,後肢の靜脈血を集める腎門脈からも血液の供給を受けて居り,兩者の中,腎動脈は主として腎臟内で糸球體を形成し,他方腎門脈は殆ど大部分の尿細管壁を灌流して後夫々腎靜脈を經てv. cava caud. に連つておる。この爲,腎門脈の血行を遮斷して,尿細管機能を停止せしめ,又腎動脈を結紮して,糸球體機能を除外し,或は動脈,靜脈を夫々Ringer液で灌流する方法等により,糸球體と尿細管機能を分離することが出來,又一面特にとのさま蛙に於ては腹腔を開き,腎臟の表面から糸球體内の血流を顕微鏡下によく觀察し得る利點も有る爲,糸球體,尿細管各々の尿生成に果す生理的機能,或は藥物,色素等の排泄系路,尿細管に於ける再吸收の研究,或は糸球體の直接觀察實驗等に,蛙は極めて好都合な動物であり,この點を利用してNussbaum,1) Cullis,2) Bainbridge,3) Gurwitsch,4) 田村,5) Richards,6)等の業績が既に發表されている。
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