Japanese
English
臨床実験
瞳孔の形に就いて—その1 蛙
Optical Study of the Form of the Pupil:Part 1 Frog
山地 良一
1
1和歌山医大眼科
pp.783-787
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201928
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色々な動物の眼を見ますと,瞳孔の形が様々なのに一驚します。円形,楕円形に始まつて,矩形正方形,不正形と仲々種類が多い様です。之等の種々な形は眼と云う光学系にどんな影響を持つているのでしようか。或いは合目的性の立場からは論じられない様なものもあるでしよう。
或る夏の夕方に水田の辺りを散歩している時,眼に止つたのは殿様蛙でした。農村に育つた私は幼時の夏の幾日かを蛙を友達にして遊んだ思い出を持つておりますが,蛙遊びの中で幾度繰返しても飽きなかつたのは「蛙釣り」と云う遊びでした。この遊びは前に神谷氏が紹介しておられますから,長い草の柄の先につけた草の実を動かせて蛙がそれに跳びついて喰べる所を釣り上げる遊びだと云う事だけを申し上げましよう。気紛れにもこの「蛙釣り」を始めた私はやがて次の様な事に気がつきました。それは,蛙の跳びついてくる頻度が全くの偶然ではなくて,草の実を動かす方向,草の実の蛙の眼からの距離等に深い関係を持つている事なのです。だんだん詳しく調べておりますとそれが蛙の瞳孔の形とも関係のある事がわかつて来ましたので,次にお話し致したいと思います。
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