論述
生体電氣發生論—膜説批判(4)
杉 靖三郞
1
1東大醫學部生理學教室
pp.113-117
発行日 1951年12月15日
Published Date 1951/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905624
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
13."膜の分極"ということ
筋や神經に電流をながすと,その電流を切つたあとで,逆むきの電流がながれる。これは,金屬などの電氣分極(galvanische Polarisation)とよく似ているが,その過程は異るものだと考えてdu Bois-Reymond(1848)は,この組織の分極を内分極(innere Polarisation)とよんで,金屬などの組織外の分極(äussere Polarisation)と區別した。彼はまた,神經の2ヵ所に電極(不分極導子)をおいて通電するときは,極の間(intra polare Strecke)だけでなく,兩極の外(側)部(extrapolare Strecke)にも擴がつて,與えた電流と同方向の電流が流れることを見た。そして彼はこの状態を電氣緊張(Elektrotonus)と名づけ,この極外部をながれる電流を電氣緊張性電流(elektrotonische Ströme)**とよんだ。
この内分極は,Hermannの實驗によると,筋纎維や神經を横斷して通電するときに,もつとも強くなるが,この場合には電流を斷つてから後に見られる逆向きの分極電流は,極めて速かになくなつてしまうという。
Copyright © 1951, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.