論述
生体電氣發生論(1)—("膜説"批判)
杉 靖三郞
1
1元東大医生理学教室
pp.104-108
発行日 1950年12月15日
Published Date 1950/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905550
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1.前がき
生体に電氣発生のあることは古くから知られている.西歴1世紀のDioscorideの"Materia medica"には,シビレエイに触れるとしびれることが記されている.しかしこの現在電氣魚として知られているものの電氣発生が確認されたのは1770年代たなつてからである.
電氣発生が生体一般の生活現象とみなされるようになつたのは,周知のごとくL. Galvaniの"蛙の筋に関する研究"(1786-93)に端を発するもので,Volta,Nobili,Matteucciを経て,E. du Bois-Reymondが,多数の事実を系統的に研究して,神経,皮膚,筋肉について,その働作に伴う電氣発生を発見してからである.その後,Hermann,Engelmann,Biedermann,Bernsteinらが相ついで研究を進めて,生体の電氣発生および電氣生理学一般に関する基礎をつくりあげたのである.
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