報告
腦脊髓液排除の前庭迷路機能に及ぼす影響—家兎(特に蹲踞位に於ける)腦脊髄液壓
近藤 潔
1
1日本醫科大學耳鼻咽喉科學教室
pp.217-222
発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905579
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
1940年我恩師大藤教授(1)は其門下永井(2)(3)と共に,腦脊髓液排除(以下液排除と略記す)が先天性聾唖の聽力恢復に著效あると同時に,失調せる前庭迷路機能にも多少に拘らず好影響を及ぼすものなることを創めて發表して,其本態的推論を行い,他方草場(4)矢野原(5)齋藤安野(6)は腦脊髓液壓變動と前庭迷路機能とに關する實驗的研究を各々獨自の立場より發表する處ありて,前庭迷路機能が腦脊髓液壓(以下液壓と略記す)と密接なる關係に樹つことは,數多の諸家に依り臨床學的に將又動物實驗學的に立證せられ,前庭迷路機能と液壓とは密接なる關係下にありて,種々なる方面より考慮せらる可き問題を含むに到れり。
余は大藤教授の命に依り上記の液排除操作が,メニエール氏病,内耳炎等の場合に於ける亢奮且刺戟性の前庭迷路機能に對し如何なる影響を及ぼすものなりやを究明す可く,家兎を使用し,低壓環境に因り前庭迷路機能の亢奮刺境性の状態を作り,實驗的に之が關係を檢索せり。先ず(其の1)に於ては本實驗の基礎となる可き家兎の液壓に就て觀察せり。
Copyright © 1951, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.