綜説
眼精疲勞に就て
加藤 金吉
1
1東京女子醫大
pp.541-546
発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200926
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
眼の使用ということは人間の健康な状態に於ては殆ど全く無意識の中に行われているのであるが,何等かの原因で意識的に努力しなければならず,又努力しても目的を達し得ないようになることがある。斯る時の1つの症状群に對して1843年にSir William Mackenzieが初めてAstheno-piaという名を提唱した。其の原因に關してはDondersが1864年に屈折状態及び調節との重大關係を指摘したのが始まりで,其の後v.Graefe等によつてAsthenopia muscularisなる言葉の下に内直筋及び毛樣體筋の關與が強調され,更にStevens等によつて斜位に原因するものの研究が行われ,最近に至つてAmes等によつて不等像Aniseiconiaにるものが追加され,現在ではW.Mackenzieの提唱したAathenopia (以下As.と書く)なる言葉は非常に廣範な症候群を意味するに至つたのである。
現在我邦ではAs.は通常As.accomonodativa,As. muscularis, As. nervosa, As. symptomaticaと大體其の原因によつて4種に分類され,從來の文献を通覽しても殆ど全てがこの分類に從い,且つ殆ど完全に分離して箇々別々に取扱つている者が多い。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.