講座 2頁の知識
疲勞と疲勞感
杉 靖三郞
pp.30-31
発行日 1951年8月10日
Published Date 1951/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200124
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普通もちいられている疲勞という言葉の内容は,かなりボンヤリしたものであるが主觀的には,筋肉の"つかれ"や全身の"だるさ"あるいは"ねむけ"としてあらわれる。また客觀的には,作業能力が低下している。
なぜこのような疲勞感がおこるか。その原因について,ある人は,筋肉活動のために生じた物質が,筋肉内にある末梢感覺器を刺激するからだといい,またある人は,神經の末梢が刺激されるからだといつている。しかし,疲れたと感じても,作業能力が殆んど低下していないこともあり,また,作業能力が低下しているのに,疲勞感がおこらないこともある。このように疲勞感と疲勞とが並行しないこともある。だが一般に,これ以上仕事をしては有害であるという場合に,疲勞感がおこるのが普通であるから,疲勞は一種の警戒反應であると考えられる。
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