展望
微量蛋白質の檢出法TBP反應とPyrogen
浦口 健二
1
1東京大學醫學部藥理學教室
pp.86-89
発行日 1949年8月1日
Published Date 1949/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905456
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Ⅰ 所謂パイロジエン
生體に對して發熱性を示す藥物乃至毒物を一わたり點檢してみると,1)生體内の藥理學的又は中毒學的作用機轉が比較的よく判明しているものは,2,3の例外を除けば,殆ど全部が化學構造の複雜なもので,アルカロイドでない場合でもアミノ基・ニトロ基乃至窒素を含有することが特徴である。これに較べて構造の簡單な無機系統のものになると,勿論それ自體の中に窒素を含まなくなるが,この場合發熱の作用機轉はむしろ明瞭さを缺き,多くの重金屬や硫黄など,屡々コロイド的性状をとらえて血液や組織・細胞の蛋白との關聯に於て云わば二次的に説明をつけている。更に發熱機轉の漠然としているのは,臨床的にも屡々問題になる蛋白質並にその分解産物の注射,バクテリアの生菌・ワクチン類乃至所謂菌毒素による發熱の場合である。ところで實際的に屡々問題になるのは種々の醫藥の静脈内注射に際して豫期しない副作用として發熱や悪寒戰慄が來ることである。この場合の發熱機轉は殆ど憶測の域を脱していない。注射液のpHやアンプレのガラスの成分,ゴム管の融解物,注射器の取扱い方等もよく云々されるが從來の結果は大體否定的である。
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