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特集 細胞内における蛋白質局在化機構
ミトコンドリア型アスパラギン酸トランスアミナーゼのミトコンドリア局在化機構—プレシークエンスの構造と機能について
Mitochondrial import of mitochondrial aspartate aminotransferase : Structure-function relation of the presequence
西 徹
1
,
森野 能昌
1
Tohru Nishi
1
,
Yoshimasa Morino
1
1熊本大学医学部生化学第2
pp.551-554
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905216
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アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AspAT)は,動物細胞中でシトゾール型とミトコンドリア型(mAspAT)の2種のアイソザイムとして存在しており1),リンゴ酸脱水素酵素の同じく2種のアイソザイムとともにアスパラギン酸—リンゴ酸シャトルを形成するなど,代謝上重要な役割を果たしている。この2種のアイソザイムはともに核遺伝子にコードされ,細胞質で合成された後,ミトコンドリア型酵素はミトコンドリア内に移行して機能を発現する。
一般に,mAspATを含むミトコンドリア蛋白質の約90%は核遺伝子にコードされており,細胞質で合成された後にミトコンドリア内の各コンパートメントに移行する。この移行のため,ほとんどの蛋白質はアミノ基末端にプレシークエンス(20〜60個のアミノ酸で構成)をもつ前駆体として合成される。そして,ミトコンドリア外膜上の受容体への結合,エネルギー依存性の移行,プロセシング酵素による成熟型への変換,活性分子の形成などの過程を経て局在化が完成する2,3)。厳格な選択的透過性を有するミトコンドリア内膜を大きな分子量の蛋白質が通過する機構は非常に興味深いものであり,上に挙げた各過程のそれぞれについて多くの研究がなされてきた。
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