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特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦
In vitroからみた老化:正常2倍体細胞の分裂寿命は乗り越えられるか
Possibility of overcoming cellular aging of normal diploid cell
大野 忠夫
1
Tadao Ohno
1
1理化学研究所ジーンバンク
pp.53-58
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904961
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はじめに標題について筆者の立場を記しておきたい。周知のように個体の老化のプロセスは複雑で,現在のわれわれの知識は,多くの老化仮説にみられるような単一の原因に帰して論じられる程の段階ではなく,いまだに一つ一つの生体変化を記載蓄積しているのが実情である。しかし,個体構成の基本である細胞をみると,実質臓器における細胞数の減少があり,分裂可能な細胞の分裂能力は,老人の方が若者に比べて,一般的に劣ると考えてよい量のデータは集積されてきている1,2)。そこで体細胞の分裂能力の喪失を老化のプロセスの一つの柱として考え,そのモデルとして,筆者の経験をまじえながら,組織培養系における細胞の分裂寿命の問題をここで取り上げようというものである。
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