Japanese
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特集 医学におけるブレイクスルー/基礎研究からの挑戦
感染:ヒトのレトロウイルス感染症
Infection with retroviruses in human
星野 洪郎
1
Hiroo Hoshino
1
1群馬大学医学部衛生学教室
pp.59-63
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904962
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ヒトにもレトロウイルスの感染症があることがここ数年で明らかになってきた。成人T細胞白血病(ATL)の原因であるヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)による感染症と,後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency syndrome:AIDS)の原因であるヒト免疫不全症ウイルス(Human immunodeficiency virus:HIV)による感染症である1,2)。外国の科学雑誌,専門雑誌を見ていて,AIDSほど頻繁にニュース,解説,論文に登場する疾患も今までになかったのではないかと思われる。幸いなことに1986年9月現在で,日本では21名の患者が認定されているに過ぎない。米国では,9月現在24,859人の患者が報告されており,さらに今後数年で10万人位の患者が出ることは確実と思われる。AIDS患者が1万人発生すると,医療費として1〜2,000億円ほどになり,社会的な損失は,1兆円位になるそうである。ここでは,癌(ATLなど)以外のヒトのレトロウイルス感染症をレビューしたい。
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