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特集 細胞生物学実験マニュアル
胚工学・発生工学
鶏胚有窓法と植え換え法
The window method and heterospecific grafting method in avian embryos
絹谷 政江
1
Masae Kinutani
1
1愛媛大学医学部第1解剖学教室
pp.325-328
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904889
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■ 概要
ニワトリ胚は胎生でなく母体から独立しており,実験操作を加えることができることや,哺乳類と同様に羊膜形成が認められることなどから,発生の実験材料として使用されることが多い。ニワトリ胚は孵卵開始時間を選ぶことにより,随時実験に使用可能である。また,数多くのembryoを一時に購入使用することもできる。よって実験発生学の材料としてその登場の歴史は古く,多岐にわたり実験に使用されてきている。
発生段階で,細胞や組織の一部分あるいは臓器の移植を行う場合,cell markerを利用して細胞を識別し得るならば,組織を構成する細胞の起源を知ることや,また移動して行く細胞をトレースすることも可能となる。この点に関して多くの試みがなされ,cell markerとして細胞質中に含まれるyolk droplet量や細胞の大きさの違いや酵素欠損のmutantなどが利用されてきている。最近,とくに注目されている実験系がある。ニワトリとウズラの核小体の形態学的な差異を利用するLe Douarinの方法である1)。また,その系において植え換え後,正常に発生が進み,キメラとして孵化させ得ることが確かめられている2)。神経管を初めとして,ファブリチウス嚢,胸腺,脳胞,whole embryoなどの植え換え法が報告されており,今後ますますそれらの方法の使用頻度が増すと思われる。
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