院長日誌
小児ベッドのとり換え論議
菊池 俊雄
1
1盛岡赤十字病院
pp.76
発行日 1973年8月1日
Published Date 1973/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205083
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<某月某日>看護部長から,小児病棟看護婦の意見でもあり,現在のベッド乳児・幼児用23床を柵付ベッドに変更してほしいとの申し出があった.そのうち6床は乳児用で,破損した柵がはずれやすく危険であるということであった.そしてその6床は即刻とり換えることとし,残りの17床については,その種類,利害得失を十分考慮してから決定することにした.
小児ベッド交換の動機は,最近小児の転落が多いので,このさい未然に転落による事故を防止しようということで一応うなずけるが,転落ごとに脳外科の診断を受け,時にはレントゲン撮影を要するなど,たとえ大事にいたらないまでも担当医から看護の怠慢を叱られることの不満にも原因があるらしい.事故といえば,隣接の医大病院4階小児病棟の古い網戸がはずれ,もたれていた患児の墜死を招いたことがあって私たちを慄然とさせた.この種の事故は非がいずれにあるにせよ責任は病院が負うべき運命にあるのが現状である.早速に私たちの病院でも小児病棟外窓に枠をつけ,階段の手摺りにまたがって遊ぶ子供があり片側の地下へ直結するほうへ網をはりめぐらした.私たちの周辺には大小様々の事故につながる原因が潜んでいるものである.
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