Japanese
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特集 哺乳類の初期発生
体細胞遺伝学から発生工学へ
From somatic cell genetics to developmental engineering
荻田 善一
1
,
東條 英昭
2
Zen-ichi Ogita
1
,
Hideaki Tojo
2
1富山医科薬科大学和漢薬研究所病態生化学部門
2富山医科薬科大学動物実験センター
pp.83-89
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904568
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岡田善雄によって細胞間にみられる融合現象の頻度がHVJの存在によって高められることが発見された。その後,1960年から1967年にかけてこの現象が異種の体細胞間での細胞融合を行う雑種細胞形成法(cell hybridization)を導き,その技術が基盤となって体細胞遺伝学へと展開されてきた。ヒト体細胞と動物体細胞との融合で得られた雑種細胞を用い,生殖系を経ないでヒト染色体地図を作成することが可能となった。これは,交配実験を基盤とするメンデル遺伝学では種々の制限と制約のあったヒト遺伝学にも新しい展開の可能性をもたらすものである。ここに,個人の組織から得られた培養細胞を用いる体細胞遺伝学(Somatic cell genetics)が急速な勢いで体系化されてきた。従来の人類遺伝学から考えると画期的ともいえるこのような体細胞遺伝学の進歩発展に伴い,これまで交配実験によってきた遺伝子発現機構などに関する研究が試験管内で行えるようになった。さらに組み換えDNA実験に端を発した遺伝子工学領域における研究技術の進歩は,ヒトの特定遺伝子をプラスミドに組み込みクローニングすることによって,純粋な標品として大量に得ることができるようになった。このようにして得られたヒトの特定遺伝子をヒトあるいは動物の培養細胞に移入し,その細胞内での発現を研究することに体細胞遺伝学の研究領域が展開されてきた。
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