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特集 腸管の吸収機構
小腸吸収細胞小胞体膜—Ussing 第3モデルの生化学的検証
Endoplasmic reticulum membrane of the small-intestinal absorptive cell. Biochemical estimation of the Ussing's third model
藤田 道也
1
Michiya Fujita
1
1浜松医科大学生化学第2講座
pp.33-38
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904502
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1974年 University of Kentuckyで開かれた"Intestinal absorption and malabsorption"と題するするシンポジウムに招かれたH. H. Ussingが,その席で上皮細胞輸送について歴史と展望を述べている1)。その中で彼は彼自身らのCopenhagen groupが手がけてきた上皮輸送の"モデルづくり"について手短かにまとめている。それによると,その複雑さの程度に応じてモデルの発展は3段階に分けられる。第1は"black box"モデルであり2),これは上皮細胞の内部にはふれずに上皮を全体として通過する流れを問題とし,short-circuiting techniqueが用いられる3)。第2のモデルは有名な"two membrane"モデルであり4),体内側と体外側の細胞膜がイオンの選択性と能動輸送機構を異にしており,事実を説明するのに大成功を収め,生理学的・細胞化学的・生化学的にも実証されたモデルである。第3の,そして最も複雑度の高いモデルは,two-membraneモデルを細胞(内)外のshunt pathwayで補強し5),隣接細胞間の共役を考慮したモデルである5,6)。それだけではなく,Ussingはさらにこのモデルを複雑にする。中でも彼が重視するのはカエルの皮膚のみならず一般の上皮細胞の浸透調節と輸送における小胞体系の役割である7)。
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