談話 コンファレンス・ディナー研究集会
脳と人間(1)—脳と人間を同じことばで語ることができるか
塚原 仲晃
1
,
久保田 競
2
,
台 弘
3
Nakaakira Tsukahara
1
,
Kisou Kubota
2
,
Hiroshi Utena
3
1大阪大学基礎工学部
2京都大学霊長類研究所
3東京大学
pp.243-249
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903544
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塚原 デザートも出はじめましたので,この辺で始めさしていただきたいと思います。どうぞお食事を食べながら,最初は司会者が少しウォーミングアップということで何かしゃべっておりますので,そのままお食事をつづけていただきたいと思います。
今日の題は「脳と人間」ということで,脳のほうはそのものズバリでありますが,人間というのはこれは非常に難しいんでありまして,定義が問題で,それをあまり高等な所に置きますと,この中でも落ちこぼれる人がだいぶ出てくるんじゃないかと思います。ですから定義が非常に難しゅうございまして,例えば南洋の土人にも,あるいはエスキモーにも共通した何か,人間というので何かないかというふうに考えます。いちばん手近な所でいきますと,どこでも共通しているのは,食事をするとき,一口食べますとその後ぐるっと周りを見渡すんだそうです。それはだれか自分の食事を取りにくるんじゃないかというような感情が,非常に共通したもののようでございます。そこで私,食事中の皆さんを見てたんですけれど,なかなか皆さんそういうことをお遣りにならないんで,そういう定義もどうも余りうまくない。それからもう1つは,笑う前にまゆ毛をキュッと上げるのが人間のようでございまして,これは非常に生物的な現象でございますから,これはおそらく皆さん共通したものでないかと思います。
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