談話 コンファレンス・ディナー研究集会
脳と環境(2)—形態学的側面から見た脳と環境
佐野 豊
1
,
久保田 競
2
Yutaka Sano
1
,
Kisou Kubota
2
1京都府立医科大学
2京都大学霊長類研究所
pp.247-254
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904529
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司会 第2番目に佐野先生に,「形態学から見た環境と脳の関連」ということでお話ししていただくわけであります。佐野先生は班員ですのでご紹介を長々とする必要はないと思います。先生は,京都府立医大を昭和25年にご卒業になりまして,解剖学教室に残られまして,36年に教授になられ,それから学生部長,学長を経験され,今に至っております。専門はもう皆さんご承知ですので細かいことは申し上げませんが,最近はインドールアミンの免疫組織化学の方法を使った解剖学の仕事をなさっています。ここで特に申し上げげたいのは,先生は別の名前,大野俊三というペンネームで小説を書いていらっしゃいます。「落葉樹」。これには一部と二部がありまして,医科人学の2つの時代ということで,戦後と大学紛争の時代の医学部の話ですが,形態学者の冷めた目で大学や京都の風景,それから祇園の茶屋とかですね(笑),そういう所を非常に克明に見ておられます。で,先生の考えておられることをいろいろ書いておられます。表紙のカバーに落葉樹の絵があるのですが,私にはスパインつきの樹状突起のようにみえます。特にわれわれ本班員にとって興味深いのは科学研究費のことで,本の中に出てきます主人公の,病理の教授,磯島進という人は,科学研究費の配分というのは,一部の巧妙なボス教授と文部省官僚の癒着によってなされるもので,あんな金はもらわないほうがよいと,そういうことを人に言って自分を慰めているのです──(笑)。
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