話題
ロンドン大学生物物理学教室
高橋 智幸
1,2
Tomoyuki Takahashi
1,2
1東京医科歯科大学医学部薬理学教室
2現在:ロンドン大学生物物理学教室
pp.229-231
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903327
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Euston squareで地下鉄を降りて,Gower streetを南に向って歩くと,すぐ右手に古めかしい赤レンガ作りのUniversity College Hospitalが目に入る。ここは1846年にListonによって,ヨーロッパで初めて,エーテル麻酔による手術が行われた病院で,当時のUniversity College医学生として,ここに居合せたListerは,後に石炭酸による消毒を導入して,多くの命を敗血症から救うことになる。University College Hospitalの入口を背にして立つと,Gower Streetをへだてた向う側に,University College Londonの正面玄関が見わたせる。昨年150年祭を迎えたこの大学は,もっぱら上流階級の子弟を集めていたOxford,Cambridgeに対して,広く多階層から人を集めて発展してきた。イギリスで,最初に女性に学位を与え,戦時中にはナチに追われたユダヤ系の学者達を迎え入れた。現在もキャンパスには,さまざまな人種の学生やスタッフが見られ,この大学の多様性は,その後もひきつがれているように思われる。
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