Japanese
English
実験講座
Agar-bullet法について
Agar-bullet method
山口 寿夫
1
Hisao Yamaguchi
1
1慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.472-477
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903220
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
生物学で用いる実験法を開発する際,最も心掛けなければならないことは,如何にして素直に自然をして語らしめるかということである。その場合対象となるものが細胞のように複雑,多岐にわたる機能を有し,またなお多くの点でその機能や構造について不明の点の多いものである場合には,なおのこと細胞をしてその行動の規範について語らしめることは難しい。すなわちこのような実験法の採用に当って,著しく自然に傾斜した方法にのっとればその定量化や解析が難しいし,また他方定量化を厳密に行おうと試みれば,その自然のもつ反応性なり,行動のあり方をそこない素直な形で自然律を表現し得ないことになる。この点についての理解と洞察が多くの生物学的実験法確立の岐路となり,それを用いる人についてもその点について十分な配慮を行いうるかどうかでその方法の評価なり採用なりについて異なった姿勢が示される。
私どもは長年炎症を取り扱う研究にたずさわってきたが,その際炎症巣における細胞のあり方,ことにそのdynamicな側面を理解するためには,その細胞の出現頻度や形態学的特徴よりも,その細胞が何を反応すべき対象として認識し,また如何なる要因に基づいて基質を含む結合織内を反応し運動していくかを最も自然な形で語らしめる必要を感じてきた。
Copyright © 1977, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.