コミニケーション
基質とカルシウム
山口 寿夫
1
1慶応大・病理
pp.161-163
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904518
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近代病理学がVirchowの"Zelluläre Pathologie"を基礎としていることは衆知の事実であるが,その基本となる考え方は,細胞や細胞の集団の動態を総ての生体反応の基盤とし,それらを通じて生命現象や疾病のあり方を理解しようとするものである。他方これらの細胞の周囲を囲続する基質については,それが極めて形態学的にとらえ難いものであり,又均質的構造を有していることから,今日にいたるも尚病理学領域では比較的等閑視され,僅かに生化学的定量や各種の特殊染色によってその存在と性状の変化をうかがうにとどまって来た。しかしながら,生体反応に於ける細胞の役割はいうまでもなく不可欠な要因であるとしても,なお生体反応の場に於けるmediumとしての基質の役割を全く無視し得ず,今後この領域での研究はその重要性を益々増してくることは当然である。
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