Japanese
English
研究と報告
向精神薬長期服用患者の剖検でみられた肺動脈血栓,肺梗塞について
Thrombo-infarctic Complications of the Lung Following Long-term Psychiatric Medication
荻田 和宏
1,2
,
中野 嘉樹
1,2
,
河内 泰彦
1,2
,
古賀 良彦
3
,
伊藤 斉
1
,
山口 寿夫
4
Kazuhiro Ogita
1,2
,
Yoshiki Nakano
1,2
,
Yasuhiko Kawachi
1,2
,
Yoshihiko Koga
3
,
Hitoshi Ito
1
,
Hisao Yamaguchi
4
1慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
2財団法人井之頭病院
3杏林大学医学部精神科学教室
4慶応義塾大学医学部病理学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio Univ. School of Medicine
2Inokashira Hosp.
3Dept. of Neuropsychiatry, Kyorin Univ. School of Medicine
4Dept. of Pathology, Keio Univ. School of Medicine
pp.989-997
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202820
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Ⅰ.序
1952年のCPZ脚註)の精神科治療への導入以来,20余年が経過し,その間多数の向精神薬が開発され,臨床に供されている。他方,向精神薬療法の多様化と平行して,副作用の報告も莫大な数に達し,現在は薬物療法が有効性,毒性の両面から再検討される時期に至っているといえる。
ところで,向精神薬の重篤な副作用の1つとして,静脈血栓,肺血栓,肺梗塞が欧州中心に多数報告されているが,われわれの知る限り本邦では報告がない。われわれの勤務する精神病院では20数年来,精神病患者の剖検を行なっているが,最近10年間に8例の肺動脈血栓,肺硬塞による死亡例を経験したので,ここに症例報告するとともに,若干の検討を加えたい。
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