今月の主題 心電図
話題
心電現象のサーカディアンリズム
大塚 邦明
1
,
久保 豊
1
,
品川 亮
1
,
西村 芳子
1
Kuniaki OTSUKA
1
,
Yutaka KUBO
1
,
Makoto SHINAGAWA
1
,
Yoshiko NISHIMURA
1
1東京女子医科大学附属第二病院内科
キーワード:
心拍変動
,
フラクタル性
,
複雑性
,
時間生物学
,
ヤヌス医学
Keyword:
心拍変動
,
フラクタル性
,
複雑性
,
時間生物学
,
ヤヌス医学
pp.1502-1510
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904254
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1.はじめに
健常人における全ての内分泌機能は,決して不変ではなく24時間を周期として,規則正しい変動を繰り返している.生体の中で最も強固なサーカディアンリズムで,外界の影響を受けてもめったに消失しないリズムとして,メラトニンリズムが知られている.体温のリズムも極めてしっかりしたサーカディアンリズムを示す.
最近,自律神経機能にも明瞭なサーカディアンリズムが観察されることが実証された.従来から,交感神経機能を表現する血中norepinephrineやepinephrineに,明瞭なサーカディアンリズムが存在することはよく知られていたが,最近になって,心拍変動(heart rate variability;HRV)解析により,心臓副交感神経機能の日内変動が観察できるようになり,副交感神経機能にも明瞭なサーカディアンリズムが存在することが実証された.一方,生体現象の「複雑性」が最近話題になっているが,HRVの時系列にフラクタル性と複雑性が存在すること,そしてそれらにも明瞭なサーカディアンリズムの存在が確認された.すなわち,生体におけるほとんど全ての生理学的現象が,リズム性を持って変動しているようである.
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