中枢神経障害におけるサーカディアンリズムの異常

Circadian rhythm disturbances in central nervous system disorders

1．はじめに

　ここ十数年の時間生物学の進歩とともに，従来から知られていたさまざまな疾患の背景に生物学的リズムの異常があることが分かってきた。例えば睡眠障害，内分泌異常，自律系の障害などにはその基本に，サーカディアンリズムの異常を示す疾患があることが報告されている。

　本特集の他の著者の論文でも明らかなように，サーカディアンリズムの異常には中枢神経が深く関与している。しかしながら，逆に神経学の領域においてサーカディアンリズムそのものを神経障害のひとつとしてとらえる見方はまだ一部にすぎず，神経症状の記載も，運動症状や感覚に関する症状に比べて，リズムに言及しているものは稀である。

Abstract

1. Disturbances of the circadian rhythms origi-nate from a lesion in some level of the input-output system of an organism which includes the sensory organs, afferents, pacemakers, efferents and effectors. Diagnosis of the level impaired is, however, difficult in clinical practice.

2. Circadian rhythm disturbances were classified as follows,

a. Amplitude abnormality

b. Abnormal periods

c. Abnormality in the phase.

3. Amplitude abnormality including abolish-ment of the rhythms displays decrement of diurnal variation of biological activities.