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特集 遺伝マウス・ラット
総説
高血圧自然発症ラットについて
On the spontaneously hypertensive rats (SHR)
岡本 耕造
1
Kozo Okamoto
1
1近畿大学医学部病理学教室
pp.349-358
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903142
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高血圧が長期間持続すると,やがて脳卒中や心筋梗塞,腎硬化症などを発症して,そのために死亡するにいたる。この高血圧合併症によつて死亡する入の数はわが国でも,欧米でも全死者の約40〜50%に達するといわれる。とくに高血圧合併症の一つ,脳卒中(脳血管循環障害:脳出血と脳梗塞(軟化))は長い間わが国死因の第1位を持続し,その約26%を占めると発表されている1,2)。しかもこれら高血圧合併症は,そのために急死する場合もあるが,慢性に経過し長年月にわたり臥床するかまたは社会活動が不能の状態を続けることが少なくない。したがつて高血圧合併症とくに脳卒中の発症を防止することはわが国医学に課せられたきわめて重要な命題とみなされる。
しかしこの目的達成の研究,とくにその基礎研究を人体で行なうことはほとんど不可能で,ここに高血圧または脳卒中などの高血圧合併症の適当なモデル動物が必要となつてくる。それを用いて自由に研究ができ,しかも短期間に精確に成果が判定できるからである。
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