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特集 遺伝マウス・ラット
総説
Elマウス
El mouse
鈴木 二郎
1
Jiro Suzuki
1
1東京都精神医学総合研究所神経生理研究室
pp.359-365
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903143
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はじめに
1954年,国立予研の今泉らは,脳水腫マウスの交配実験中,偶然けいれん発作を起こした個体を認めた。以来,注意深い観察と選抜交配の結果,抛り上げ操作によつて非常に発作を起こしやすい系統をつくり出し,epマウスとして1959年に報告した8)。1964年には国際的にEl系F25代優性として登録された9)。未だにepと呼ぼれることがあるが,epは他の変異を意味するので注意を喚起しておきたい。現在,近交系として59代に達しており,てんかん形質については優性できわめて純粋であると考えることができる。しかし遺伝子の詳細については不明である。
しかし適切な飼育,刺激条件によれば100%発作を発現させることができる。しかも発作の初発週齢が世代を経るに従つて早くなつていることは今泉8),中野20)らや私達19)の資料からみてとれる。すなわち,F4で9週,F56で平均7.7週,F59で6.8週である。ただ繁殖にいくつかの困難が生じているのは他の変異動物と同様である。一つは雄が成熟後,早期に尿閉を主症状とする疾患で死亡することが多い。また雌が育仔が拙劣で,食殺も多い31)。また脳重,体重ともにdd系に比して小さい。これらが,今後,研究上大きい障害となる可能性がある。
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