今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
高血圧の病態
高血圧自然発症ラット
家森 幸男
1
1島根医大病理学
pp.1356-1357
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207387
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本態性高血圧のモデル
一次的な原因となるような明らかな臓器病変がなくて発症する本態性高血圧のモデルを得ようとしてさまざまな試みがなされてきたが,その最も成功したのが高血圧自然発症ラット(spontaneously hypertensive rats,SHR,岡本・青木,1963)1)である.これは正常血圧ラット(Wistar-Kyoto)の中から血圧のより高い個体を選択し兄妹交配をくり返して得られた系統で,現在では高血圧を自然に発症する動物モデルの中で,国際的にも最も広く利用されている.
この系統の中より,さらに脳卒中を自然に発症したラットの子孫のみを残すという特殊な選択交配により,脳血管障害を80%以上の高頻度に発症するstroke-prone SHR(SHRSP,脳卒中易発症SHR,岡本・家森・永岡,1974)2)が分離された.また動脈硬化のモデルを得る目的で高脂肪コレステロール負荷で反応性高脂血症をきたしやすい系統の選択交配をすすめ,1〜2週間という短期間で高脂血症とともに脳底や腸間膜の動脈に脂肪沈着をきたす系統,arteriolipidosis-prone rats(ALR,家森,1976)3)が得られている.
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