Japanese
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講義
中枢プログラミングと末梢フィードバック—サルの眼球—頭部運動協調について
Central Programming and Peripheral Feedback during Eye-Head Coordination in Monkeys
宮下 保司
1
,
Emilio Bizzi
2
1東京大学医学部生理学教室
2Department of Psychology, Massachusetts Institute of Technology
pp.315-319
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903136
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協調的な運動をするためには,中枢神経系は神経インパルスの時間—空間的なパターンを生成しなければならない。つまり,どんな運動をする場合でも,中枢神経系は,どの筋肉群がどのような時間的順序で収縮すべきか,を指定しなければならない。この問題は,長年にわたり神経生理学者によつて研究されてきた。ある研究者は,求心性入力の重要さを強調した。別の研究者は中枢神経系内に含まれているプログラムが,使われるべき筋肉群を指定するだけでなく,その時間的順序をも決めているのだと考えた。この講演において私が強調したいのは,運動生成の問題は,中枢からのパターンと末梢からのフィードバックの統合として理解されねばならないということである。
ヒトやサルでは,視覚野の中に標的があらわれると,規則正しい順序で眼球と頭部の運動がおこる。第一に,saccade(衝撃性眼球運動)と呼ばれる急速な眼球運動がおこり,網膜内で最も敏感な部分である中心窩に,標的の像がおちるように,眼球を移動させる。第二に,20〜40msecの遅れの後に,頭部が同じ方向に回転する。眼球が,最初にしかも頭部より速く動くのであるから,頭部がまだ運動している間にすでに視線は標的に到達してその標的を注視しているのである。さらに,頭部の運動している間,眼球は回転し標的を注視し続ける。
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