Japanese
English
解説
視覚中枢入力の多元性—ネコ網膜神経節細胞の三型分類
The multiplicity of visual inputs
福田 淳
1
Yutaka Fukuda
1
1大阪大学医学部高次神経研究施設神経生理学教室
pp.442-452
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903083
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
視覚機能には,形状認識,二点識別,などの複雑なものから,明暗識別,対光反射,あるいは対象への眼位および体位の移動など,より原始的なものまで,多くのものが含まれる。これら様々の機能が,諸視覚中枢のうちのどの部分によつて分担されているかという問題は,古くから興味がもたれてきた47)。より複雑な機能は外側膝状体—大脳皮質視覚領野で営まれ,より原始的な諸機能は,被蓋前域,上丘などの脳幹の視覚中枢で営まれる,とするのが一般の考えである56,57,68,73)。最近の研究から,これら諸視覚中枢への入力を与える数多くの網膜神経節細胞の間で,視覚中枢間にみられる機能の分化に呼応する分応が行なわれうることが明らかになりつつある。
Cajal以来14),網膜神経節細胞には,細胞体の大きさおよび樹状突起の型,存在する部位などの異なる多種のものが,主として解剖学的研究により区別されてきた8,9,11,12,31,40,49,53,63,71)。他方,電気生理学的研究の場合,記録条件による制約から,あらゆる種類の細胞を調べあげることが困難であつた44,67)。
Copyright © 1975, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.