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網膜に投影されたパターンの形状や色彩,その時々刻刻の変化などを手がかりにして,私たちは自分を取り巻く外界の構造を知り,視野内にある物体やパターンが何であるかを認識している。網膜はこのような視覚情報を処理する視覚神経系の入口にあたり,そこで抽出された情報はいくつかの経路を通じて大脳の視覚中枢に送られている。すでに本誌にも紹介されているように64),視覚中枢は機能的に分化したいくつかの小領域に区分されることや,一つの領域内にも機能の異なる細胞群が存在し,視覚刺激を構成しているいろいろな特徴を分担して抽出していることが明らかにされている。ここ十数年の間に,視覚中枢に情報を送り出す網膜の出力細胞,すなわち網膜神経節細胞の受容野の研究がネコを用いて精力的に行なわれ,受容野の性質および軸索のインパルス伝導速度の相違により網膜神経節細胞は,Y,X,Wの三型に分類されている。この三型分類は,ネコだけでなく魚類や両棲類,ネズミ,ウサギ,リスなどの齧歯類からツパイやサルなどの霊長類に至るまで広く当てはまることが示されており(Stoneの解説書58)参照),さらに心理実験によりヒトの視覚神経系にもXチャネルとYチャネルの存在が示唆されている32,53)。したがってこの分類は特定の動物種に固有なものではなく,普遍的な分類であると考えることができる。
In the last decade, it has been established that the retinal ganglion cells of the cat can be classified into Y-, X-, and W-cells according to their response properties to photic stimuli. X-cells and Y-cells, which have concentrically organized on-center and off-center receptive fields and show sustained (X) and transient (Y) responses to the presentation of the luminance contrast, are considered to be distinct and homogeneous functional classes which extract a spatial difference in luminance (X) and a temporal change in luminance (Y), respectively.
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