特集 受精機構をめぐつて
特集「受精機構をめぐつて」によせて
団 仁子
1
,
石川 春律
2
1お茶の水女子大学理学部生物学科
2東京大学医学部解剖学教室
pp.277-278
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903066
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たいていの精子の先端にある小さなオルガネラについて,これを錐(キリ)だという考えに終止符がうたれ,精子が卵へ進入する過程でもつと複雑な役割が認められ始めてからほぼ四分の一世紀が過ぎた。この間,多数の研究者が精子が卵へ近づく際,いろいろな先体(acrosome)に起こる変化を研究してきた。その結果,受精現象に関するわれわれの理解に多大な貢献がもたらされた。
とくに貢献がなされたのは,各種の精子先体に含まれ,未受精卵を包む保護被膜を精子が通過できるよう適当な時点で放出される分解物質の化学的性質についてである。哺乳動物の先体はつぎの点でとくに興味深い。すなわち,2種の異なる酵素が含まれており,まず,卵丘細胞間のセメントを溶かすヒアウロニダーゼ(hyaluronidase)を,ついで透明帯(zona pellucida)の糖タンパクを分解する"zona lysin"が順次放出される。
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