特集 体内のセンサー
特集「体内のセンサー」によせて
伊藤 正男
pp.1
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903030
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生体にはいろいろな種類の受容器が備わつている。その受容する刺激の物理化学的な性質に従つてこれを機械受容器,温度受容器,化学受容器,光受容器などに分類する。痛みを感ずるものを侵害受容器とよぶのは刺激の生物学的な意味によつたものである。受容器はまたその所在によつてつぎのようにも分類される。筋,腱,関節,迷路にあつて空間における体の位置,運動に関する情報を受け取るものを固有受容器,皮膚にあつてすぐ近傍の外部環境の変化を検出するものを外受容器,身体の内部環境からの信号を伝えるものを内受容器,また目,耳,鼻のような感覚器官にあつて遠方よりの情報を受けるものを遠隔受容器とよぶ。本特集で体内のセンサーと呼んだものはいずれも内受容器に属しているが,そのうちとくに脳の内部に位置するものに重点を置いて取り上げてある。
内受容器には心臓,血管,肺,消化器に付随するものがよく知られている。また,脳内に位置する受容器としては血糖濃度を感受する視床下部ニューロン,体温を受容する視床下部ないし延髄・脊髄のニューロン,脳脊髄液のpHに応ずる延髄表層のニューロンや,特定ホルモンに対して高い感受性を示したり,血液の浸透圧変化に応ずる間脳のニューロンなどが知られている。また時間の経過を感知する生体時計の機構も脳のどこかにあつてよいはずである。
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