Japanese
English
総説
キニンの薬理とその生体における意義(前篇)
Pharmacology of kinins and their physiological and pathological significance
鹿取 信
1
Makoto Katori
1
1東京医科歯科大学医学部付属心臓血管病研究施設薬理研究部
1Department of Pharmacology, Institute for Cardiovascular Diseases, Tokyo Medical and Dental University
pp.446-478
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902876
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
炎症の形態学的見方は19世紀末までにほぼ完成したが,20世紀に入るに及んでその形態学的変化を動かしている化学物質に人々は目を向け始めた。言うまでもなく,ヒスタミンはその最初である。Daleらによつてヒスタミンが発見され,ショックとの関係が注目されたのに始まり,さらに腫れがこの「物質」によつておこることに人々は特別な興味をそそられた。人々は炎症のすべてをヒスタミンで説明しようとし,やがて限界がきた。抗ヒスタミン剤の出現はそれを決定的なものとした。5-hydroxytryptamine(5-HT,セロトニン)も同様の運命をたどつた。
Menkinは炎症が組織蛋白質の分解と関係し,病変はその分解物であるポリペプチドによつて起こると考え,炎症巣から異なる働きをもついくつかのポリペプチドを分離したが,これは人々の眼をもう一つ物質群へと開かせる結果となつた。不幸にして,それぞれのポリペプチドが純粋でないことが後からわかつたが,彼の努力はやがて,ブラジキニンへと結びついていつた。
Copyright © 1970, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.