Japanese
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特集 代謝と機能
血清化学検査の正常値をめぐる諸問題
Significance of normal values on clinical chemistry: technical and clinical consideration
北村 元仕
1
Motoshi Kitamura
1
1虎の門病院生化学科
1Department of Clinical Chemistry, Toranomon Hospital
pp.306-314
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902861
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Ⅰ.臨床化学技術の信頼性
「臨床検査室の目的は正しい検査成績を提供するにある。」このごく当り前な命題を筆者が真剣に考えるようになつたのは,検査部門の充実を病院開設の一路線とした現在の施設に移つてからのことである。当時すでに,現実の検査データ,とくに臨床化学分析の成績には大きなバラツキのあることが実態調査の結果によつて明らかにされていた1)-3)けれども,もし臨床医の信頼に足るデータが出せないとすれば,それは検査技師の訓練不足のためであり,指導によつて解決できる1)のが当然であると考えていた。
その技術の訓練に,もつとも効果的だと思われたのは,1950年Levey-Jennings4)によつてはじめて検査室に導入された統計学的品質管理法である。この方法は,凍結保存した同一プール血清を2本,毎日の検査にそう入して,患者検体とまつたく同様に処理し,2本の差(R)と平均値(x)を追跡してその日のバラツキと日差変動を監視するx-R管理図法5)を中心とするものである。
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