研究会報告 臨床化学検査の精度に関する研究報告・1
尿酸測定をめぐる諸問題—臨床検査精度研究会
舟木 正明
1
,
玄番 昭夫
2
,
林 長蔵
3
,
菅野 剛史
4
,
北村 元仕
5
,
丹羽 正治
6
,
大場 操児
7
,
尾辻 省悟
8
,
佐々木 禎一
9
,
臨床検査精度研究会
1国立大阪
2群大
3阪大
4慶大
5虎の門
6国立小児
7順天大
8鹿大
9札医大
pp.879-882
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908181
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はじめに
精度管理(quality control)は,検査データの信頼性の維持・改善をその目的としている.したがって,x-R管理図法にしても同一試料の同時測定による精度調査にしても,その結果は精度管理の出発点に位置すべきものである.実験的調査で示された結果によって,目標値からの誤差を把握し,要因分析によって誤差の原因を推定し,その因果関係を実験的に証明した上で,日常検査工程のなかから誤差因を除去し,現実のデータの信頼性を向上させる,という道すじをもつものでなければ,精度管理の名に値しない.
同一試料による臨床化学検査の測定値調査は,国際的にも,わが国においても,きわめて精力的に実施されている.わが国では,1962年に雑誌「臨床検査」編集室が全国141病院検査室を対象として,はじめて広範な調査を行なったが,そののち日本衛生検査技師会臨床化学研究班の全国調査をへて,現在,日本医師会,あるいはCol-lege of American Pathologists主催の年次調査には数百の検査室が積極的に参加するに至っている.それらは,各施設のデータを評価し,現実の検査成績のバラツキを明らかにしているけれども,精度管理の立場から見れば依然として出発点にすぎず,これをもとにして要因分析や実験的な検討作業に進んだ報告にはほとんど接しない.
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