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特集 代謝と機能
臨床化学検査のその後の展開
Recent advance in clinical analytical chemistry
斎藤 正行
1
Masayuki Saito
1
1東京大学医学部臨床化学
1Department of Clinical Chemistry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.315-335
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902862
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現在,臨床検査は日常診療に必須のものとされているが,特に化学部門の医療への貢献は非常に大きい。もちろん戦前にも化学検査はあり幾つかの指導書があつた。たとえば藤井暢三先生の生化学実験法(定性・定量篇の2冊よりなる)は立派な内容で大変勉強になつたが日常診療の片手間に参考にするには難解すぎ,何となく高級という感じだつた。その点戦後いち早く,確か22年の暮にデビューした吉川春寿先生の臨床医化学実験篇は,俳人の作品にふさわくし親しみやすい文章で臨床家に新しい化学検査の魅力を与えた。戦後の臨床化学はこれを契機として発展したといえよう。この本はその後何度か改訂され今日でも店頭で入手できるが最後の改訂からすでに10年近く経過している関係で今日の臨床化学分析の内容といささかギャップがあるように感ぜられる。もちろん弟子のわれわれがこれを改訂しなければならないのであるが,成書の内容もいわゆる古典的標準法で新しく臨床化学分析を学ぶときに現在でも大切な指針であり,さらに愚弟子たちの拙文で改悪になるのを恐れる。そういう意味で今回のようなチャンスにこの名著にその後の発展を補足させて頂き,弟子としての義務をいささかでも果たさして頂きたいと思う。
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