Japanese
English
特集 代謝と機能
ヘモグロビンの円偏光二色性
Circular dichroism of hemoglobin
杉田 良樹
1
Yoshiki Sugita
1
1金沢大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, School of Medicine, Kanazawa University
pp.169-175
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902848
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ヘモグロビンはよく知られているようにその生理的機能である酸素との解離結合において平衡曲線はS字状を示す。これはヘモグロビン1分子は2本ずつのα鎖とβ鎖よりなる4量体で,その4個のヘムに酸素が結合するとき,タンパク部分の高次構造の変化を通して現われるヘム間相互作用に基づくものとされ,このためヘモグロビンはアロステリックタンパク質の典型的なものとされている。このような機能特性のもととなるタンパク質の高次構造は,種々の化学的および物理化学的な方法で研究されているが,われわれはヘモグロビンの円偏光二色性の測定により,グロビン部分の高次構造およびそのヘムへの反映について研究中であり,この方法は酸素平衡という機能をタンパク構造から説明するのに重要な知見を与え,理論的解析を行ないうる可能性を持つているのでこれについて述べる。
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