交見
一丸となつた協力態勢が緊要,他
伊藤 宏
1
1横浜市立大学薬理学
pp.196-202
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902638
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戦後間もない頃,笠信太郎氏の「物の見方考え方」という本が出てベストセラーになつたことがあつたが,その中で印象にのこつているのは,日本と英国における国会議員の討議のしかたをたくみに比較論評された個所である。日本人の議論はそれぞれの側の主張が動かし難く定つてしまつていて,討論はただいかにして相手を打ち負かすかということが主眼となる。しかるに英国議会における討論は,両者がそれぞれ定見をもつた上で,はじめから結論を出さずに,討論の間によりよい,より正しい,より目的にかなつた立場を発見し,築きあげてゆくというようなものであつた。医学における基礎と臨床も政党内の派閥のように互いにあげ足とりや繩張り争いをすべきものではないであろう。
今までこの欄に提出された諸賢の御意見を拝見しても,多くの方々が分化した基礎と臨床が改めて綜合医学(和田教授)の立場を回復することの必要を痛感しておられる。それは綜合研究所(三浦教授)の確立,大学研究室の機構・体制の改革(真下教授,佐野教授).医学が生物学と一線を劃す側面—病態基礎医学(冲中教授)(臨床生理学,生化学,薬理学等)の研究の促進の提唱という形で現われている。
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