Japanese
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連載講座 個体の生と死・24
胎児の身体的発達―胎児超音波計測より
Fetal biophysical development: Ultrasongraphic fetal biometry
妹尾 大作
1
,
秦 利之
2
Daisaku Senoh
1
,
Toshiyuki Hata
2
1香川県立医療短期大学専攻科
2香川医科大学母子科学講座周産期学婦人科学
pp.337-343
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902559
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超音波医学の目覚ましい発達により,リアルタイム二次元超音波画像の描出が臨床的に可能となって以来,それまでブラックボックスであった子宮内の胎児およびその付属物(胎盤,臍帯,羊水,卵膜)を明瞭に観察し得るようになり,周産期医療は飛躍的に進歩した。さらに超音波診断装置の解像力の向上に伴い,胎児の中枢神経系,循環器系,消化器系,腎尿路系,体表などにおける個々の臓器を同定できるようになり,胎児期における各臓器の正常発育パターンが解明され1-15),同時に発育不全あるいは形態異常の診断がなされるようになった。近年では,血流などの流動体をカラー表示し,血流速度や血管抵抗などを計測できる超音波カラードプラ法ならびにパルスドプラ法による胎児循環動態の解明も可能となり16),胎児心拍数図などの従来の検査法に比べより早い時期に胎児低酸素症の存在を診断できるなど,機能的評価までもが行われるようになった17)。そして現在では,三次元超音波法を用いた胎児の立体画像を描出し得るようになり,体表の形態異常の診断がより容易になされるようになったうえ18),臓器の発育を体積で評価することも可能となった19,20)。今日では胎児の行動をリアルタイムな三次元立体動画として観察することさえできるようになっており,今後,胎児の発達過程における行動様式の解明が期待されるところである21)。
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