Japanese
English
特集 RNA
HIV-1ゲノムRNAの二段階二量体化
Two-step dimerization of HIV-1 genomic RNA
高橋 健一
1
,
河合 剛太
1
Ken-ichi Takahashi
1
,
Gota Kawai
1
1千葉工業大学工学部工業化学科
pp.131-135
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902538
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HIV-1は後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすレトロウイルスである。そのゲノムはRNAであり,同一配列の一本鎖RNAゲノムが二本,二量体を形成した状態でウイルス粒子の中に格納されていることが知られている1)。この二量体形成は感染力のあるウイルスになるために必要であると考えられており2-4),二量体形成に必要な部位が二量体化開始部位(DIS)として同定されている5,6)。その塩基配列から,DISはステム-バルジ-ステム-ループという二次構造をとることが予想され,そのループには自己相補的配列,GCGCGC(またはGUGCAC)が存在することから,次のような二段階の二量体化のモデル,kissing-loopモデル(図1)が提案された5,6)。それによると,まず分子内でステムを組んだDIS同士が近づいて,ループ同士で塩基対を組み,一段階目の二量体(kissing-loop二量体)が形成される。次に分子内ステムがほどけ,すべて分子間のステムに置き換わり,二段階目の二量体(extended-duplex二量体)ができる。分子間塩基対の数の違いから,前者より後者の方が二量体を保持する安定性が高いと予想される。
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