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実験講座
アポトーシス誘発系の分子構築と遺伝子治療
Construction of chimeric molecules for apoptosis-inducible system and its application to gene therapy
小澤 敬也
1
Keiya Ozawa
1
1自治医科大学血液学講座,輸血・細胞移植部,分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部
pp.336-341
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902483
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遺伝子治療のもともとの発想は,遺伝性疾患で単一遺伝子に何らかの異常がある場合に,組換えDNA技術を用いてその修復を図るというものであったが,現在は,細胞に遺伝子操作を施して何らかの治療効果を得ようとする治療法一般を指して,広く遺伝子治療と呼んでいる。したがって,単一遺伝子病に限らず,癌やさらに最近では種々の慢性疾患に対しても,様々なストラテジーに基づく遺伝子治療法が考えられている。遺伝子治療法にはいくつかの分類の仕方があるが,病的細胞の修復治療を行う直接的アプローチと,何らかの細胞の遺伝子操作により間接的な治療効果を引き出そうというアプローチの二つに大きく分けることができる。後者の中で,ある特定の細胞を増殖させたり,あるいは逆に細胞死を誘発するための細胞制御遺伝子の開発は,細胞治療を大きく発展させていくためのキーテクノロジーの一つとなっている。細胞を増やす例としては,遺伝子導入効率の低い造血幹細胞を標的とした遺伝子治療において,分子スイツチを付けた選択的増幅遺伝子を治療用遺伝子とともに造血幹細胞に導入しておき,遺伝子の入ったポピュレーションを体内で治療域まで選択的に増幅させる技術の開発が進められている1-3)。
一方,細胞を減らすシステムの具体例としては,治療として患者体内に輸注するリンパ球に,細胞死を誘発する遺伝子を予め組み込んでおき,必要に応じてその輸注リンパ球を破壊・減少させる方法が検討されている。
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