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特集 医学における霊長類の研究
遺伝的多型と霊長類
Genetic polymorphism and the primates
尾本 恵市
1
Keiichi Omoto
1
1東大理学部人類学教室
1Department of Anthropology, Faculty of Science, University of Tokyo
pp.551-555
発行日 1970年11月30日
Published Date 1970/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904650
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まえがき
遺伝的多型(genetic polymorphism)は生物の変異の特別の形である。E.B.Ford1)が下した定義に従えば,種内の同一地域に棲む集団中に不連続性の遺伝的変異が共存する現象で,しかも最も稀な型でも,反復突然変異の結果と考えるにはあまりに高頻度で出現する状態をいう。普通,遺伝子頻度が1%以上の変異を多型に含める。
この現象が生物界では例外ではなく,むしろ普通の現象であることは,最近の遺伝学の研究から明らかである.人類では,たとえばLewontin2)(1967)によれば,1900年のABO式血液型の発見以来1962年までに記載された33種類の血液型(赤血球の抗原性に見られる変異)のうち,英国人では12種類(36.4%)が多型とみなされる。
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