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特集 ゲノム全解読とポストゲノムの問題点
ヒトゲノム解読のロゼッタストーン―ゼブラフィッシュとフグのゲノム情報
Zebrafish and puffer fish genome as Rosetta stone for deciphering human genome
岡本 仁
1
Hitoshi Okamoto
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チーム
pp.551-559
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902449
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ヒトを含む複数の生物のゲノムの全塩基配列がほぼ決定され,焦点は,そこに何が書き込まれているのかをいかにうまく理解するかに移りつつある。では,何がわかれば本当の意味でゲノムが“解読”されたといえるのだろうか。筆者は,そのためには以下のような項目がみたされる必要があると考えている。(1)どこに遺伝子があるのかがわかること,(2)それぞれの遺伝子の生理的機能がわかること,(3)それぞれの遺伝子と,その機能不全による発生異常や疾病との関連がわかること,(4)それぞれの遺伝子の制御領域がわかること,(5)どの遺伝子が,どの遺伝子によって制御されているのかがわかる,すなわち遺伝子同士の機能的上下関係(epistasis)がわかること,(6)進化の過程でのゲノム構成の変化と動物の多様化との関連がわかること。
この総説では,脊椎動物の中で進化においてヒトと最も離れているサカナのゲノム解析が,上に述べたような課題の解決にどれほど重要な貢献をできるのかについて解説する。
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