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特集 ゲノム全解読とポストゲノムの問題点
ゲノム配列の比較に基づく古細菌の生命科学
Biological study of Archaea on the basis of comparisons between genomic sequences
鈴木 理
1
Masashi Suzuki
1
1産業技術総合研究所DNA情報科学研究グループ
pp.518-524
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902444
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かつて生物は,その細胞の形態から,真核生物(核やミトコンドリアなどのコンパートメントから細胞が構成される)と原核生物(コンパートメント構造がない)に2分類されていた。1980年頃以降,原核生物が2グループ(遺伝子構成や遺伝子配列が異なる)に分かれていることが次第に明らかになり,今では,真核生物,真正細菌(大腸菌など典型的な原核生物の多く),そして,古細菌(新しく確立された原核生物のグループ)に3分類されている1,2)(図1)。30億年前にラン藻による好気性の光合成が始まった結果,大気中の酸素濃度が急上昇した。このため,地表や海洋表面から古細菌は姿を消し(ほとんどの種が嫌気性),この系統の認知が遅れたと説明することも可能である。
古細菌が従来型の生物学の対象となったことはまれで,ゲノム塩基配列や蛋白質立体構造に基づく新しい方法論の有効性が問われる対象である。現在までに16種の古細菌のゲノム配列が決定されており3-18),この中に私達が決定したThermo-plasma volcanium14)が含まれる(図2)。
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