今月の主題 炎症性腸疾患とその周辺—診断と治療
序にかえて
多賀須 幸男
1
1関東逓信病院・消化器内科
pp.186-187
発行日 1987年2月10日
Published Date 1987/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220788
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追いつき追い越せ
1966年に東京で第3回世界消化器病会議が開催されたときのことである.日本で早期胃癌の診断を可能にしたというわけでいささか胸をはっていた筆者は,病院を案内したときに,日本人の潰瘍性大腸炎とCrohn病について質問されてなにひとつ答えることが出来ずあわてたことがある.正直に言うと,潰瘍性大腸炎やCrohn病について,今日の医学部5年生ほどの知識もなかった次第である.
日本における大腸診断学の歩みは「胃と腸」20巻3号によくまとめられているが,大腸の炎症性疾患に関心が集まるようになったのは1970年以降のことである.最近10年間では学会のシンポジウムや雑誌特集号の主題として,繰り返し取り上げられるようになった.
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