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特集 細胞極性の形成機序
タイトジャンクションの分子構築―接着分子クローディンファミリー
Molecular architecture of tight junction: claudin multigene family
森田 和政
1,2
,
古瀬 幹夫
1
Kazumasa Morita
1,2
,
Mikio Furuse
1
1京都大学大学院医学研究科分子細胞情報学講座
2京都大学大学院医学皮膚科
pp.135-141
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902105
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多細胞生物の体内は環境の異なった様々な空間に分けられている。それぞれの空間を分けているのが,上皮細胞や内皮細胞からなる細胞シートである。例えば,血管内皮,胆管上皮は管腔内と管腔外を,肺胞上皮は肺胞内と肺実質とを厳密に区分している。このことは多細胞生物の各臓器や組織が機能する上で必須であり,多細胞生物の成立にとって極めて重要なことである。
細胞シートを構成する単層上皮細胞や内皮細胞はアピカル-バソラテラル方向の極性を持ち,細胞内器官の配置や細胞膜上の膜蛋白質,脂質の組成もこの極性に従う。すなわち,細胞膜上にチャネルやポンプは極性をもって分布し,細胞内小胞輸送は方向性をもって行われ,細胞シートの両側に特有の環境が形成されている。この環境を維持するために,単層上皮細胞や内皮細胞は細胞と細胞の隙間をシールして,物質透過を制御する必要がある(バリアー機能)。このために発達してきた特殊な細胞間接着構造がタイトジャンクションである。さらに,タイトジャンクションは細胞膜のアピカル領域とバソラテラル領域の境界を形成することから,この二つの領域間で膜蛋白質や脂質が拡散によって混ざるのを防ぎ,細胞の極性形成維持に寄与しているともいわれている(フェンス機能)。
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